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社内クライアントPCをHDDからSSDへ

クライアントPCのSSD化と64bit化は大きなパフォーマンスの向上を望めます。しかし全面的に社内に導入していくかどうか、となると互換性や運用面の問題に頭を悩ませている社内SEも多いのではないでしょうか?

ここでは既に導入を進めている筆者の会社において、SSD導入に際して懸念していたポイントや実際の使用感をレポートしてみたいと思います。(64bitOSの導入についてはこのページでは触れません)

SSDのデメリットって何?

まずは一般的にSSDのデメリットと言われているポイントを抑えましょう。

これらのポイントについて調査を行い、筆者が導入に踏み切った詳細については以下で説明していきます。

とにかくSSDは早い!

使ってびっくりしましたが、ホントに早いです。Windows7の起動画面で、Windowsマークが合体する前にログイン画面に切り替わってしまうほどです。

以下はベンチマークソフトでの計測結果ですが、数値を見ても圧倒的です。

HDDとSSDのベンチマーク比較 HDDとSSDのベンチマーク比較。
数値的に見てもSSDは圧倒的な速さで体感的にも大きな差を実感できる。

退社時にシャットダウンして、「あ、あの資料送ってなかった!」と思い出してやる作業も全く苦にならないんです。ソフトの起動や処理も感動するほど早いです。通常起動に時間がかかる画像編集ソフトのPhotoshopや動画編集のPremiere、AfterEffectsなんかもSSDにしてから格段に起動が早くなりました。

クライアントPCにおいて速さは何にも勝る正義です。この速さだけでも早く社員に使わせたいと感じましたが、導入したあとで運用上の致命的な欠点が出てきては困るので、一般的にSSDのデメリットと言われる部分の入念な調査を行うことにしました。

SSDは価格が高い?

当初に比べ、かなり安くなってきましたが、HDDに比べたらまだまだ高いことは事実です。

社内でSSDを導入するにあたり、このコスト増をどう考えるのかは以下の通り。

そもそも容量はそんなに必要無い

社内で使うPCにおいては個人用と違ってそんなに容量を必要としません。実際、筆者の会社では今まで350GのHDDを搭載しているPCを採用してきましたが、使用量が100Gを超えている社員は2%にも満たず、その2%の社員も画像や音楽ファイルが入っているだけなので、業務上絶対に必要なファイルでもありませんでした。

価格が安いからといって大容量のHDDを搭載したPCを配ってしまうと、パソコンの故障や老朽化に伴う入れ替えを行う際のデータ移行に異常な時間を取られてしまいます。

シンクライアントやクラウドシステムが登場してきているように、クライアントPCには極力データを残さないようにすることが運用上でもセキュリティ上でも理想とされてきている今、大容量のHDDは時代に逆行する選択になってしまいます。

実際の価格差とその価格差の埋め方?

2013年モデルのノートパソコンでHDD(300~500G)とSSD(120~240G)モデルを比較したところ、実際の価格差はほとんどが10000円以内でした。

以下でも説明する通り、この10000円の差は十分埋められるだけのメリットがSSDにはあります。

もし、購入時の価格が懸念事項としてあるなら、多少CPUの性能を落としてでもSSDを選ぶことをおすすめします。ただし、動きが早い分、同時に複数のソフトを起動しがちになるので、メモリは4G以上(32bitOSの場合は最大搭載可能容量が4G)搭載が必須です。

書き込み回数制限とパフォーマンスの低下についての調査と結論

SSDならではの書き換え回数の制限や、パフォーマンスの大幅な低下については非常に気になっていましたので、社内SE数名のPCだけ先行でSSDに変え、約1年の間ガンガン書き換えながら使用してきました。

動作テストの条件

できるだけ過酷な使用条件にしたかったので、SSDだからと気を使わずに、今までのHDD以上に酷使するように心がけてきました。

<使用機器>
・PCスペック:HP Probookシリーズ CPU:Corei5/Mem:4G/SSD:160G
・搭載されたSSD:intel SSDSA2BW160G3H(MLC)
・OS:Windows 7 Proを使用(OS自体がSSDに最適化されています) 
<使い方>
・SSDの寿命対策とされる設定は一切しない
・ソフトのインストール&アンインストールも遠慮なくガンガン行う 
・無駄なデータもためこんで全容量に対する使用率を80%程度に維持
・社外にも社内の会議室にもトコトン持ち歩く

このような条件で約1年間使用してきたPCの状態と使用感のレビューは以下の通りです。

回数制限があると言っても、到達できるレベルじゃない

SSDは、記憶領域の最小単位となるセルの書き換え回数が1万回(MLCの場合)に達した時が寿命とされています。書き換え回数1万回と聞いても何もわかりませんよね。

実際に1年間酷使してきたSSDについて、SSDの寿命測定ソフトで計測してみたところ、残り7年は余裕で使えるという結果でした。つまりトータルの寿命は8年です。

SSD使用後の書き換え回数と寿命までの残存期間 SSDの書き換え回数と寿命までの残存期間イメージ。
社内SEが1年間使用してきても寿命を迎えるまで約7年残っている計算になる。

人や会社によって書き換え回数は大きく変わるとは思いますが、この1年の筆者の使い方を上回る人は少数派だと思いますし、筆者の会社にはまずいないと確信できます。

通常、PCの耐用年数は4~5年で管理するので、その間にSSDが書き込み回数による寿命を迎えるケースは限りなくゼロに近いと考えていいです。

SSDを使って寿命が来る確率より、HDDを使っていて故障する確率のほうが高いです。

パフォーマンス(動作速度)の低下は?

大幅なパフォーマンス低下があると聞いていたSSDですが(今のところ)全くその気配はありません。

SSD使用開始時と使用1年後のベンチマーク比較 SSD使用開始時と使用1年後のベンチマーク比較。
ヘビーユースしてきても1年ではパフォーマンスに変化は見られない。

よくよく調べてみると、パフォーマンス低下してもHDDに比べたらやはり圧倒的に早いようなので、まるでデメリットとは言えない要素でした。

プチフリはあるけど、デメリットと言う程のことではない

IntelのSSDではプチフリは確認されていないと何処かの雑誌で見ましたが、私が使用した「intel SSDSA2BW160G3H」ではこの1年で20回はプチフリと思われる現象を確認することができました。

しかし、フリーズしたままデータを損失してしまうケースはゼロでしたし、プチフリを差し引いてもHDDに比べたら断然早いので全く気になりません。もちろんSSD自体もどんどん改良されているので、最近のモデルならほとんどプチフリは起きないのではないでしょうか?

耐久性、静音性、発熱量

HDDはデータ読み取り用のヘッドがデリケートな為、振動に弱く故障の原因となり易かったのですが、SSDでは回転部分が全く無いので、音も静かで耐久性も抜群とされています。
実際に使ってみるとその通り、かなりあちこち持ち歩いて雑に使ってきましたが全く壊れていません。(もちろんHDDでもこの程度では壊れないでしょうけど・・・)

意外に快適だったのは、熱を持たないということ。HDDのノートパソコンは夏になると異常に熱くなって、キーを叩く手に不快な熱さを感じていましたが、SSDモデルに変えてからは多少の熱は感じるものの不快感は全く無くなりました。

まとめ

導入を検討している社内SEの方がそれぞれの環境で入念なテストをすることは重要ですが、一般的に言われるSSDのデメリットについては上記の通り、「気にする必要無し!」です。

ぜひ、前向きに検討し、少しでも早くSSDによる快適な仕事環境を整備してもらいたいです。

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筆者プロフィール
筆者プロフィール
  • 1976年 東京都生まれ
  • 23歳・・・サービス業の会社に勤務したが時間的自由度の低さに納得行かず転職を考える。
  • 25歳・・・「新卒扱いで構いません!」と言ってIT系企業(社員30名)に転職。
    Word、Excelから始め、サーバーやネットワーク機器の構築を学び、3年間SIerとしてお客様への提案やシステム構築を行う。
  • 28歳・・・「3年の経験あり」ということで現在の会社(従業員数900名)に社内SEとして入社
    遅れに遅れていた社内システムを低予算で更新した実績を評価された。