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社員のメールソフトは「Windows Liveメール」?「Thunderbird」?

クラウドを利用したシステムが主流となり、メールもWebで管理している会社も多くなってきました。しかし、容量や使い勝手の面でWebメールでは補いきれない部分も多く、今後もしばらく、内勤の社員はメールソフトを使い続けていくでしょう。

今回、社内SEとして社員に推奨すべきメーラーは何かについてじっくり考えてみた結果、「Windows Liveメール」か「Thunderbird」の2択となり、最終的に「Windows Live メール」を選定しました。以下ではその理由について説明していきます。

「Windows Live メール」と「Thunderbird」以外のメーラーは?

大前提として以下の条件でふるいにかけました。

ほとんどのメールソフトはサポート体制が甘く、何か不具合があったときに機能改善が見込めないというリスクを抱えることになってしまいます。
その結果、第一審査で生き残ったのが「Windows Live メール」と「Thunderbird」です。

一見、「Windows Live メール」はマイクロソフトが出しているから安心、と判断したくなりますが、サポート体制や機能、信頼性の面から見ても「Thunderbird」は十分選択肢になりうると判断しました。

機能を比較してみた結果

実際に筆者が数ヶ月単位で両メーラーを使用してみたところ、機能の比較にはあまり意味が無いと感じました。
なぜなら、基本的にメールソフトが求められる機能は両者とも実装できているからです。

後は同じ機能を使用するときの使用感がどうか、というところです。 社内で500人を超える社員に使用させる場合、ちょっと特殊で便利な機能があることよりも、当たり前の機能が1クリックでも少ない操作で使用できることの方が重要になってきます。

そもそも、スキルのある人は推奨外のメールソフトを自分で設定して使うので、社内SEとしてマニアックな機能を追及する必要はまったくありません。

ちなみに、Thunderbirdはアドオンによって機能追加していけるところが魅力ですが、実際に社員がそんなことをするかというと、大半の社員についてはスキルの面で非常に難しいですし、アドオンでさまざまなカスタマイズされたメールソフトはパソコン入れ替え時のデータ移行に影響しそうなので、会社のシステムの統制をとる立場としては、むしろマイナス判定となりえます。

使用感で大きな違い

「Windows Live メール」と「Thunderbird」は、実際に使用してみるとその操作感に大きな違いがあることに気づきました。

宛先入力欄のインクリメンタルサーチの違い

まず、メール作成画面のあて先欄に名前を入力した時のインクリメンタルサーチの動きが違います。
※インクリメンタルサーチとは:検索したいキーワード入力している途中でも即座に候補を表示させる機能

ソフト Windows Live メール Thunderbird
名前(漢字名)による検索 先頭一致 先頭一致
アドレス(ローマ字)による検索 部分一致 先頭一致
先頭一致:キーワードの先頭からの一致で判断します「○○から始まる」と同意
部分一致:キーワードが含まれているかどうかで判断します「○○を含む」と同意

アドレスで検索ワードを入力するときの動きが違うのですが、これが実は大きな差になります。

例えば宛先を入れる場合、相手を「サイトウさん」として思い浮かべます。これを漢字で検索しようとすると「斉藤」「斎藤」「齋藤」なのかで迷い、それぞれ検索にヒットするかどうかが違ってきてしまいます。

一番間違え無いのはカタカナですが、実際カナまでアドレス帳に登録するケースは稀なのでローマ字を使うのが便利です。

メールアドレスの@の左側はほとんどの企業が個人名をローマ字で設定しているので、上記の場合「saito」と入力すればヒットすると考えられます。

しかし、このサイトウさんのメールアドレスは以下のように複数のパターンが考えられます。
1 saito-akira@mail.com
2 akira-saito@mail.com
3 a-saito@mail.com

「Windows Live メール」は部分一致なのでいずれの場合もヒットしますが 「Thunderbird」の場合、先頭一致なので1の場合しかヒットしません。

ちょっとマニアックな部分ですが、メールを送るときに毎回使う部分なので使用感としては大きな差になります。

メール検索

過去のメールを検索する際の違いです。もちろんどちらのソフトも全文検索(宛先、件名、メール本文全ての文字を検索対象とする)が可能です。

ソフト Windows Live メール Thunderbird
検索方式 インクリメンタルサーチ 検索ボタンを押したタイミングで検索
結果の表示方式 その場(受信トレイ)で絞込み 別タブで結果が開く

明らかにWindows Live メールの方が目的のメールを見つけるまでの時間が短くて済みます。

Thunderbirdには検索結果を更に細かく「自分から」「自分宛」などフィルターできる機能があるので、場合によっては便利ですが、筆者が使った数ヶ月の中で活躍したのは数回程度でした。

署名

現状Thunderbirdの最大の欠点として筆者が考えたのが署名に関する使い勝手です。 なぜかThunderbirdでできるのはメール作成時点で署名を入れるか入れないかだけ。それをオプション設定で事前に行えるだけなので署名無しで作成しているメールに、「やっぱ署名入れとくか」と手動で署名を入れるということができないんです。

充実しているアドオンの中にこの要件を満たすものもあったのですが、社員全員のパソコンにアドオンを追加するというのは現実的ではありません。

そんなに影響の無いことかなとも考えたのですが、新規作成メールでも署名が要らない場合もあるし、返信や転送メールの場合でも署名を追加しておきたい場合もあります。やっぱり署名は手動で挿入できるのが一番なんです。

まとめ

現状、社内で推奨するメールソフトとしては「Windows Live メール」がベストです。 実際には今回挙げた理由以外にも、パソコンの入れ替え時のデータ移行の容易さなども選定の理由となっています。

今後、Thunderbirdのバージョン更新とともに改善されていく部分も多いと思いますが、数百人が使うソフトを選定する上では、自由度の高さよりもマストな機能を少ない操作で使えることを重要視すべきです。

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筆者プロフィール
筆者プロフィール
  • 1976年 東京都生まれ
  • 23歳・・・サービス業の会社に勤務したが時間的自由度の低さに納得行かず転職を考える。
  • 25歳・・・「新卒扱いで構いません!」と言ってIT系企業(社員30名)に転職。
    Word、Excelから始め、サーバーやネットワーク機器の構築を学び、3年間SIerとしてお客様への提案やシステム構築を行う。
  • 28歳・・・「3年の経験あり」ということで現在の会社(従業員数900名)に社内SEとして入社
    遅れに遅れていた社内システムを低予算で更新した実績を評価された。